あっという間に今年も8月!
書きたいことは色々あれど、ここ1ヶ月わたしを夢中にさせているやつがいる。
パキポディウム属の中でダントツに「グラキリスが好き」というのは、きっとこれからも不変。でも、パキポディウムの白い花が見てみたい。
そんな不順な動機で探して、選んで、購入したのがこちらのイノピナツム。
写真を見ただけで分かるようにガリガリ、というかベッコベコ。
じーちゃんのおしりになってるグラキリスどころの話じゃない。
これは腰を据えて向き合わなければ!というわけで2019年7月発根管理スタートー。
パキポディウムイノピナツムの発根管理
イノピナツムとは?
パキポディウム属の中には結構な種類がいますが、イノピナツムはその中の1種。
大まかにパキポディウム属の皆さん
ちなみに種や亜種は結構頻繁に変わるので現時点での参考程度に見ていただければ。
イノピナツムはグラキリスと同様、その上の種「ロスラーツム」から発生した亜種でマダガスカルの中央にある高山地帯に自生しており、白い花を咲かせグラキリスよりも少し難物とのこと。
恵比寿笑い(ブレビカウレ)もそうだけど、標高が高いと花の色が黄色から白になる不思議。
同じく白花のエブレネウムとイノピナツムは少し樹形が似ていて、区別が付きやすいのは葉。細いのがイノピナツムで、幅広なのはエブレネウム。
ファーストインプレッション
通販には気をつけろ!と言いつつ、またもや通販購入。
実店舗で見て触って購入できるものが好みとは限らないのが辛い。
なので通販購入する場合には、販売元にそれまでの情報を聞くようにしていて、このイノピに関して教えてもらったのは
・鉢に植えて3ヶ月
・多分未発根
・窓越しの日光が当たる屋内管理で、20~35℃(送風機あり)
・水やりは土の乾燥具合によって週1~半月に1回
あとは複数枚の写真。
本体のへこみは写真に写っていて理解した上でもこの子の形が好きだし、3ヶ月で少しは発根してる可能性もあるかなーと。
あとはこれから夏だしなんとかなる!って思ったけど…
想像以上に痩せてるな!
本体をつまむと、少しフカフカ。
ガリガリでこのフカフカ、発根は…多分していない。
それに株に対して鉢が大きすぎる気がするし、妙に重い。
これは土が濡れているとみた!
よし、抜こう。
根の有無は如何に
やはり鉢の土は湿っていて、採取した際に残されたと思われる細根は沢山あったけれども想像通りの未発根。
根がないのに大きい鉢に植え込むと、梅雨時はいつまでも土が乾かずに危険。
よく「葉・イコール・根」と言われますが、輸入したてのパキポディウムにおいてそれはあまり当てにならなくて、根がなくとも本体の余力によって葉を出してしまう。これが発根したか否かを見誤る原因にもなったりして、既に植え込まれている根無しの株にザバザバと水やりして腐らせるパターンもあるらしいのです。こわっ。
以前良く見かけていた葉切りされている株は、葉から本体の水分が蒸発してしまうことを防ぐためらしいのですが、私はやったことはありません。
細根はあれど、輸入後に出たような根は確認できず。硫黄が残っているまま植え込まれた模様。
イノピナツムを洗う
とりあえず、残っている硫黄と細根に絡まっている土を落とすために洗います
濡れるとまだはっきり分かる表皮下の葉緑素
根さえだしてくれればなんとかなる気がする
上、下、右、全方位ベッコベコ。膨らんだら絶対良形(個人的嗜好)
だけど、本体の水分をかなり失ってる状態の株を管理したことはないし、何よりイノピナツムは少しばかり気難しいとの話なので正直どうなることやら…。
発根管理開始
とりあえずは、前回も登場した発根剤ラピッドスタート希釈液につけて一晩。
お!
流石にこれは発根剤の効果ではなくて、以前出しかけた根だろうけれども希望が見えた気がする!と思った私、今思えば浅はか。
ラピッドスタートに5日間、その後オキシベロンに24時間漬けた辺りで梅雨が明けまして、後は御存知の通り猛暑猛暑もうしょー!連日の32度超え。
もはやこちらで温めようとしなくても野外に出せばそこは常夏。
夏が来た。
ここで一気に勢いついて発根してくれるといいなーと思いつつ、土に植え込み半日陰に置いておいた8日間、ほぼほぼ日陰なのに熱で本体の水分が更に奪われて加速するヘコみ。
毎晩帰宅する度に、今日こそ膨らんでいるはず!というか膨らんで!と見守っていましたが
(……きこえますか…イノピナツム…あなたの扶養者です……今… あなたの身体に…直接… 呼びかけています……根を…根を出すのです…葉を出している場合ではありません……あなた今…崖っぷちです……) pic.twitter.com/rSfV3rNBwc
— 植物日誌 (@posyu3) 2019年7月30日
変化は見られず…抜こうか抜くまいか…どうせだめになるならやれることやりたいと最悪の場合を想定し、意を決した15日目。
土から上げてみると、やはり未だ発根ゼロ。
先のグラキリスは14日目で発根確認できていたし、その頃よりも遥かに気温は高く条件的にはむしろ良いと思っていたのでちょっと心折れた。
新たな未発根株
なかなか反応のないイノピナツムに業を煮やし…た訳ではないのだけれど、将来イノピナツムのタネが欲しくなったとき、グラキリスとの交雑種になってしまうのが嫌で迎えたのが
この子
こちらは新鮮なのか大きさに対してかなりずっしりとした重みを感じるし身体もカッチカチ。まだ国内で全く管理されていない完全な抜き苗。
細根は全くなし、というよりも主根辺りにそもそも生えてなかった様子。
№1が迷彩模様なのに対して、シルバー一色。少し身体に残る傷も成長するにつれて他の箇所と同化し目立たなくなると思います。
これくらいのハリがあればまだまだ体力は残ってるだろうから、こちらは気持ち的にも気長にいけるなと安堵。
発根管理、再スタート
2株ともにオキシベロン50倍希釈水に約24時間漬けた後、ラピッドスタート希釈水で水耕管理へ。
今回は鉢カバーなしで窓辺に近い室内へ設置。
日中、クーラーは付けていないので多分室内気温は30℃くらいかなー。
夜は出窓に移動し、家人が就寝するまでクーラーもついて24~26℃程度。
毎日水を取り合え、観察。
ガリガリのイノピナツムのほう、残っていた細根でこれはもう駄目だなと思ったやつに関しては随時カットしていたらこんなにスカスカ。
たまに現地で一旦植え込まれて出た根があるので発根もしやすい~的なことが書いてある場合があるけれど、それがこの根のことを指しているのであれば、そうかなー?って。逆に主根のような太い根がある程度の長さで残っている方が私的には結果がだせてます。
残っている細根がダメだなと判断する基準としては、根の中央部が黒くなってしまっているのは死亡と判断し随時カット。
実は…というほどのことでもないけれど、我が家の現地球グラキリス1号は鉢に植えられた状態で届き、根の先端が1cmほど土から出ている状態でした。
その根はずーっと飛び出したままで育てていたんですが、翌年の夏にその根が黒くなっていき最終的には腐ちてなくなってしまったのです。
当時、土の中に続いているのであろうその根が根腐れに繋がるのではないかと肝を冷やしましたが特に変化は見られず、そういうものなのかと勉強になった経緯があります。
なのでそもそも残っている細根を残して植えても問題はないんだろうけれども、いずれそうやって淘汰されてしまうのならば、先に切ってしまおうと。
そうやって観察する夜ごとに根の写真を撮っていたら、「根」フォルダを作成しなければならなくなるほどの枚数になってしまいました。例えば↓
ガリガリイノピナツムにある根。中央の1番長いもので3mm程度。
恐らく掘られた後に出したもので、現在は活動停止のまま生きていると思われる。
照明により赤っぽくなっていますが実際には黄色寄りの色をしていて、前回発根したグラキリスの新鮮な根と比べると
活動している根の色は白い。
そして恐らく根冠と呼ばれる先端の尖った部分があり、活動休止すると上のイノピナツムのように丸くなるのでは?と想像しています。
このように発生途中でストップしてしまった根がガリガリイノピナツムには沢山ついていて、3週間の観察中にそれが活動再開することはありませんでした。
まぁそんなことを毎日繰り返し行うこと6日、ガリガリイノピナツムがついに!
イノピナツムの発根
きたー!
パターン白!発根です!
念の為、翌日も確認
ボケちゃってますが、右にも新たに発根を確認!
あー良かった!
なんとか成長期に間に合った!
イノピナツムがあまりにベッコベコなので、もしかしてこのまま萎んで死亡コースもあるかもしれないと思っていただけにグラキリスのときよりも嬉しい。
とはいえこの根がきちんと育って水を吸い身体が膨らむまで、まだまだ油断は禁物。
そして、もう一方のカチカチイノピナツムはというと
呆れるほどの速さで発根、管理開始から6日目。
やっぱり本体に残る余力が大きいほど発根も早いのかもしれない。
未発根を購入されるときにはなるべくへこみのない、カチカチの元気なやつをおすすめします。
発根後すぐに植え付ける
ある程度根が伸びるまで水耕栽培を続けるもの見かけますが、わたしはグラキリスの時と同様にさっさと土に戻します。
あとは、ある程度馴染むまで寒冷紗の下で療養。
カチカチの方、形が故に1cm程度しか土に埋まってないのが不安だけどしっかりと発根してくれればきっと問題ないでしょう。
あとね、見て分かる通り右側の枝に新芽も展開しだしてるんですがどうも葉の形が、、、エブレネウムなんだよね!
んでよく見てみたら棘の感じもやっぱりエブレネウムなんだよね!!!
やっちまったなぁ~!
ではまたー!
発根後の経過観察はこちら
ガリガリイノピナツムが膨らんだ!の記事はこちら