今季はパキポディウムのベアルート株を3つ購入し、初めて一から未発根の管理を経験したシーズンでした。
しばらく未発根株は購入しないだろうと感じているので、改めて振り返り気づいたことや、感じたことを記録に残しておこうと思います。
発根確認から2ヶ月経過したグラキリス
まず最初に迎えたのはグラキリス
既に2つある現地球グラキリスとは違った風体を求めて選んだ子
購入時には少しへこみがあり、若干の縦じわが入っていましたが発根管理開始から約2ヶ月が経った現在。
発根前にこうだったものが
発根後こうなった!
まだ押すと少しへこむのでバッキバキではないけれど、少しずつ株が膨らんでくるにつれて成長に伴い刻まれた段がハッキリと浮き出てきました。
この段、我が家実生のグラキリスたちにはまだ見受けられず、唯一実生の恵比寿大黒がそれっぽいものを刻みながら成長してるので年輪的なものならばわかりやすくて良いなぁと思うけど、どう数えてみても播種からの年齢とは一致しないので違うみたい。残念。
発根後、葉もほぼすべての枝から芽吹き元気そうです。
そして葉の中にいくつか斑のようなものが出てきました。
パキポディウムの斑入は殆どが黄色と緑で構成されるようですが、この子は黄色とは言えないライム色で、すべての葉がそうなのではなく発生しているのは全体の1割程度。
そのうち消えてしまいそうな微妙なものなので、同じく斑の入った株と交配できたら低確率ながらもしかすると?くらいの感じかな。
身体の色は相変わらず。乾いていてもなかなかの色ですが濡れると驚くほどの緑色。
海外サイトで、パキポディウムが右の株のようにシルバーなのは強い太陽の光を反射し、長い干ばつによる乾燥から身を守るためと書かれているものがありましたが、では左のように表皮の薄い株がいるのはなぜだろうと…。
単純に岩陰にいてあまり陽の光に晒されていなかっただけかもしれないけれど、マダガスカルで撮影された写真を見ていると、あることに気づきます。
グラキリスが自生するところには必ず、雑草がある。
その雑草にパキポディウムのふわふわしたタネが留まって育っていくのでしょうが、この雑草によって左右される日当たりの差かなと。
うちの緑グラキリスも側面は緑で、陽があたっていたのであろう頭頂部や枝先はシルバーになっています。となると、緑の子は岩場ではなくて、結構土があって草も茫茫と生い茂る場所に生えていた、、、とか想像するの楽しい。
我が家の夏における環境では日光を遮るものはなく、冬は室内管理で風は殆どないけれども24時間暖房が入っていて乾燥した状態、年数が経つほどに今の緑色から輝くような銀色に変化していくのかもしれません。これは要観察です。
更に、現地のグラキリスたちって乾季などで萎んだりすることないのかなってふと疑問に感じ色々調べてみると、現地で株が張り付いているあの岩は砂岩らしく岩の中に水分を含んでいるそう。
風化しやすく柔らかい砂岩にヒビが入り、砂や土が蓄積し、雨季に水を含んだそこにグラキリスが根を下ろした状態なので、恐らく乾季であっても100%断水しているわけではなく、岩の中に残された水分で細々と細根を潤しつつ雨季を待っているのではないかなと…これまた想像ですが。
なので飼育下においても、冬の間に細根が枯れない程度で水やりをするべきっていうのは理に適ったことなのだなーと。
ところで我が家の緑の子、発根確認から約1ヶ月と3週間経ちますが全体的にフカフカした感じは少しずつ薄れてきていて見た目の「じーちゃんのおしり」感は殆どなくなりました。
が、屋外にいて葉からの蒸散もあり微妙に膨らんでーへこんでーを繰り返してるので、まだ十分に根は張っていないようです。我が家の現地球1号は冬の間も根が成長していて冬前にグラついていたものが春にはがっしりと動かなくなったこともあり、あまり心配はしていませんがこのまま順調に根付いてくれることを祈るばかり。
まずは室内に取り込むまで、もう少ししっかり育ってくれますように。
ガリガリだったイノピナツム、発根確認後は…
イノピナツムはガリガリが故に、少しでも膨らめば根が伸びて水を吸っているのが分かるはず。まぁ当たり前ですが植え込み後の数日で変化はあまり感じられず相変わらずのベッコベコ。
大丈夫かな、やっぱりもう少し水耕で管理してから土に戻したほうが良かったかなって自問自答しつつ見守ります。
この子達と、前出のグラキリスもざぱーっと水やりした後は鉢内が8割乾くまで屋外放置。発根したばかりのベアルート株って発芽したての実生と近い状況のように思うので、土が乾ききる前に再び渇水。
グラキリスは梅雨明け前から発根はしていて遮光なし、逆に発根時に猛暑だったイノピナツムとエブレネウム(仮)は20%遮光した寒冷紗の下で管理しました。
そうこうしていたら丁度お盆の終わりに大型台風10号が発生、ここ東北も直撃ではないもののそこそこ雨風が強く、これは良い機会だなってことで鉢がその日までに乾くよう事前に調整し雨晒しに。
台風10号の雨に打たれる現地球の皆様
グラキリス界のアバターとはあの子のこと。
雨シャワーで3時間くらい、しっかりと水を含んだ鉢は皆ずっしり。
イノピナツムにとってはかなり久しぶりの、そして日本に来てからは初めての雨だったのではないでしょうか。
台風による水行からの12日後。
ついに膨らみだしました!って分かりづらい?
ね?
ね?ね?
膨らむ順番としては、株の下から上、中から外っぽい。
なので分かりやすくシワが消えてハリがでたなと目視で確認できる頃には結構膨らんでいる状態なのだと思う。気のせいか顔色(表皮色?)も少しよくなってきているように感じますがこれは欲目かもしれない。
という訳で発根確認から3週間後、ようやく根張りの確信がもてました。4週間目に入ってからは目に見えて膨らみを感じられるくらいの速さですが、まだまだ普通の株に比べたらへこみは凄いので、こちらは冬までにはなんとか膨らみきって少しでも余力を蓄えれるよう管理していこうと思います。
イノピナツム(誤)、君の名は
最後はイノピナツムとして購入したものの、これちがうわー絶対違うわーの子
そもそもガッチガチだったので、植え込み後に膨らんだから大丈夫だなってことがないわけで。この子に関しては変化せず、凹まず、つつがないことが元気なのだと、そういう確認しかできないんですが、今のところは問題なさそうです。
前回の問題提起で葉がエブレネウムのようだとお伝えしましたが、更に葉が展開してきた今改めて確認してみるも、やはり。
イノピナツムとは似ても似つかない、丸くて短い葉。
前回はサラッと調べてエブレネウムに似てるかなーと思ったんですが、デンシフローラム変種のブレビカリックスにも似てる気がしてきた。
エブレネウムとブレビカリックス、どちらも棘が短く太めで葉は幅広、小さいうちはあまり区別がつかないようでハッキリした違いといえば花の色。
白ならエブレネウム、黄色ならデンシフローラム・ブレビカリックスかな?
ちなみにインスタでのエブレネウムタグでは花の色が黄色な株がちらほらいる謎。なぜ?
あとは最終的な大きさがエブレネウムが直径30cm程度に対して、デンシフローラム(ブレビカリックス)は直径1~2m程度の低木扱いらしく「デンシフローラム」とは「豊かな花」という意味で1株に沢山花がつくそう。
また「ブレビカリックス」とはラテン語の「短い」を意味する”brevis”と花の萼(がく)を意味する”calyx”をあわせた造語。花が普通のデンシフローラムよりも短く、小さい。写真をみたら花びらがフリル状になっているものが多いようなのでそれも特長の1つなのかも。
つまりはデンシフローラム変種ブレビカリックスとは「豊かな花で短い萼」
うん。まんま。
とにかく今年はもう花が咲くことはないでしょうから、早ければ来年同定できるかと。
結果が何にせよ、どこかで間違って繋がったイノピナツム(誤)との縁も大切に末長く一緒にいれたらなと思います。
まだまだ頭の中のよもやま話は積もるほどあるのですが、既に3000字オーバー。
続きはまた今度。
ではまたー。