植物日誌

ベランダと室内で育てる塊根植物、サボテンの観察日誌

冬至に思考するパキポディウム・グラキリス 冬の管理から開花まで

令和元年も残すところ10日を切り、いよいよの年の瀬

今年最後の更新になるか否か!

パキポディウムの秋~冬、開花について記録・思考します

グラキリスの紅葉

 

なぜ紅葉するのか

日照時間が短くなり、気温も下がってくると葉の光合成の効率が悪くなります。これがトリガーとなって葉の老化がおこり、葉の中にある緑の色素(クロロフィル)が分解されていくと、残った要素によって赤(アントシアニン)や黄色(カロテノイド)の葉に変化するのです。
また、紅葉していく段階で光合成の活動も衰えていくことから気孔の働きも徐々に低下していき蒸散の量も減少するように思いますので、塊根植物が秋に太りやすいと言われるのは紅葉~落葉がその一因では?と個人的に推測しています。
 

パキポディウム 紅葉

なぜ落葉するのか

植物は根から吸い上げた水分を葉から蒸散させる働きがありますが、降水量が少ない冬になると十分に吸水することができず、水分不足によって本体が枯れてしまうのを防ぐため紅葉を経て葉を落とし休眠状態に入ります。
マダガスカルに日本のような冬はありませんが、ある程度まで気温が下がり水分補給できなくなる乾季があるので、これも上記と同じく一定量の水分を確保できないという理由からパキポディウムたちは落葉し、次の雨季を待つわけです。

 

パキポディウム、冬の管理は?

我が家ではだいたい11月になると最低気温が10℃を下回ってくるのでまだ葉が青々と茂っていても室内に取り込みます。
しっかりと根が張っていれば、まだ屋外で管理することも可能なのですが、もっと遅い時期に取り込んだ場合、暖かい室内を春と勘違いした株が再度芽吹いてしまうのを防ぐため程々の頃合いを見て室内で落葉させるようにしています。
休眠しない環境を作ることができれば成長を止めずに済むと思いますが、半端な環境で全体的な形が思うように育たず、特に現地球においては「購入時が1番良かった」となるのだけは個人的に避けたいのです。このあたりは育てる人の趣味趣向や、用意できる環境によって考え方・育て方は様々だと思います。
 

グラキリスの冬の休眠について

室内に取り込んだ株は窓辺で徐々に落葉していきます。
11月の日中、気温が最高18℃程度の時、窓辺は40℃近く、夜間は5~7℃程度で窓辺は冷気が多少入る場所で15~17℃になります。この寒暖差が紅葉~落葉を促進する気がしていて、室内でも陽にあたる時間が短く気温の変化が緩い場所に置かれている株は落葉までに時間がかかっているようです。
また逆に、あまり冷気に当たらない場所に置かれている株は夜間でも20℃ほどに保たれているので半端に葉を減らすだけに留まっています。
前にも書いたような気がしますが、葉がある間は光合成を行い、夏ほどではないものの緩やかな蒸散もあるようで冬だからと水を切ってはシワシワになってしまいますので、本体を摘んで柔らかさを感じるようであれば少量の水遣りをします。
完全に落葉し休眠に入った株は、細根を枯らさないよう状況に応じて月1回程度同様に。

 

 

来るべき春に向けて

さて、ここからは先の話になるのですが開花についてです。
私は我が家におけるグラキリスの花を一度しか見た事がありません。
開花可能と思われる株は2つ、3年管理している現地球と去年開花した国内実生でそれ以外は幼苗、若しくは今年手に入れた発根管理株なので除外。
なぜこの2株、特に3年管理している現地球株が開花しないのか色々と考えてみました。
まずSNSを見ているとグラキリスの花の時期は4月〜6月が最も多く、単純に考えると長日植物なのだろうと思います。
長日植物とは、陽の長さがある一定よりも長くなることで花芽の準備が始まるタイプ。
今日は今年の冬至で夜が1番長く、明日から少しずつ陽は長くなりますが、花芽が作られるため次に必要となるのは気温です。
そうして気温に関する環境差、地域差はあれど条件が揃うのがおおよそ4月〜6月頃ということだと思います。
では、なぜ我が家のグラキリスは花を咲かせないのか!

仮説1 肥料不足

花を咲かせるにはエネルギーが必要です
現地球は購入時から植え替えていないので、表土以外どのような土が使われているのか不明、よって元肥があるのかどうかも不明。
普段あまり積極的に液肥を使わないのですが、来年動き出したらいつもより多めに使用してみる予定

仮説2 限界暗期

先程書いた長日植物の花芽形成について、もう一歩踏み込んで言い換えると「連続した暗期の長さが限界暗期以下になると花芽形成がおこる植物」となります。
ここでのポイントは連続した暗期という部分。
つまり、暗闇は連続しなければならない
例えば途中で光が当たって暗闇が中断されると継続してカウントされない
中断ってどの程度?って思ったでしょう?
私が読んだ本の中で、とある植物が実験されていて植物が中断されたと感じる連続した光は15分ということが書いてありました!
わたし、日中は仕事してますので帰宅して植物眺めるのが癒しのようなとこがあるんですけど、15分しか癒して貰えないなんて!ガッデム!
そしてそもそも15分というのはグラキリスについての結果ではないので、実際はそれよりも長いかもしれない、けど短いかもしれない…。
つまりは花が見たければ冬の間の観察は休日の日中だけにしとけと、そういうことですねわかります。
その連続した暗闇を数週間から数ヶ月経験として蓄積し、そうこうしている内に春が近くなってきて夜が短くなったなと判断できて、気温が上がっての開花と、なるほど。
去年までそんなこと考えもしなかったので帰宅後に長々と観察しておりました。
だいたいね、何か問題があればそれは植物じゃなくてわたしのせいですよ。知ってた?
上記の肥料不足もあるけれど、我が家のグラキリスが開花しないのはこの「仮説2」の方が大きいんじゃないかなぁと思います。
因みに去年初開花した実生の方は、暗期関係なく株が成熟した際に訪れる開花だと思うので気候さえ良ければ発生する生理現象だと推測しています。
 
さぁて、またもや長々と語ってしまいましたが来年の開花は如何に!
ではまた!
 
 参考文献
植物の体の中では何が起こっているのか (BERET SCIENCE)

植物の体の中では何が起こっているのか (BERET SCIENCE)

 
植物学「超」入門 キーワードから学ぶ不思議なパワーと魅力 (サイエンス・アイ新書)

植物学「超」入門 キーワードから学ぶ不思議なパワーと魅力 (サイエンス・アイ新書)

  • 作者:田中 修
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2016/03/16
  • メディア: 新書